『住宅のコストダウンの為に工事費を抑えたい』
住宅の屋根を支える「垂木」という材料があります。その垂木を強風が吹いても飛ばないように固定するために板状の金物が使われています。古くからずっと使われ続けていて、金物の改良も随時行われていたので、垂木を別の方法で留めるということは全く考えられていませんでした。
ある時、ハウスメーカーの方と話しをしている中で「住宅のコストダウンは材料と工事費のコストダウンが中心だけど、材料のコストダウンは限界に近づいている。あとは工事費を下げるしかないけど、職人さんの単価を下げる訳にはいかないし、工事を省略する訳にもいかない。しかし住宅の構造性能を向上させるためには以前よりも多くの金物を取り付けなければならない・・・、どうしたものか。」という悩みを聞くことができました。
お客様の困りごとにヒントがありました。金物を取り付けるのにコストがかかる、それなら「コストのかからない取り付け方法があれば良いのではないか」、そこから研究が始まりました。
それまでビスと住宅構造は無縁だったので、まずは住宅の構造を勉強することからスタートしました。
次に住宅構造に必要な金物にはどんな性能が求められているのかを学び、自分たちが得意とする、求められている性能を満たすにはどんな形状のビスが最適なのか検討しました。
今までトライアルしたことのない構造性能に関わる製品づくりなので、ワクワクした熱意と、住宅の性能に関わる責任への不安とが入り混じったプロジェクトでした。製品づくりはもちろんのこと、製品性能の証明の仕方、建築物の安全性を判断する行政との協議、幾つものハードルを越えて商品が完成しました。
完成した商品は施工コストの削減、現場負担の軽減など、トータルで満足を提供できるものとなり、爆発的に普及していくことになりました。